発達段階の視点から人と組織を育てる

2019年1月13日 § コメントする

ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを、効果のあるデザインにするために必要な2つ目の「E」。Effective (エフェクティブ)であるために、どんな視点からデザインすれば良いのか、というお話の続きです。

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先日書いたアファーマティブであることと、深く関わってくることでもあるのですが、人の成長や能力開発を

「二元的に捉える」

のではなく、

「発達段階的に捉える」

ということが、最も大切なことです。人は、どんな能力にせよ、

できるか、できないか=二元的

ではなく、

今どこにいて、どこへ向かっているのか=発達段階的

という生き物なのです。

発達段階的な視点で人の成長を捉える、とは具体的にどういうことでしょうか?具体例を挙げてみますね。

あなたは外国語を学んだことがありますか?学校で英語を勉強したときのことを思い出してください。あなたや周りのクラスメートは、

英語が話せるか話せないか、という2つのグループにくっきりと二分されたでしょうか。英語が得意な人、苦手意識を持っている人は、それぞれあったと思いますが、英語を話す能力に関して言えば、厳密にどうだったでしょうか。

二分するというよりも、アルファベットをようやく覚えた段階の人から、もう少し上達してあいさつ程度なら英語で言える人、そして日常会話ならどうにか英語でこなせる人、もしかしたらもっと上級者でネイティブとでも流暢に複雑な議論ができる人もいたかもしれません。

英語を話す能力は、「できるかできないか」という二元的な能力ではなく、少しずつ上達していく力であることがわかりますね。それが、発達段階的である、ということです。

話は戻って、ダイバーシティ&インクルージョンについてですが、

「我が社を多様性に強い会社にしよう!」

「多様な人材を活用できる組織にしよう!」

と言ったときに、思い描くような組織になっていくための過程を発達段階的にみることが大切なのです。

例えば、多様性に関連する(と思われる)何らかの研修を社内で一度か二度実施したからといって、「研修前・研修後」で、突然多様性に強い組織になるわけではないのです。これが二元的視点でのD&Iデザインの落とし穴ですね。

私が普段アメリカで頻繁に目にする二元的デザインの典型的な例は、

全社員を対象にアンコンシャス・バイアス(認知バイアスのひとつ)の研修を導入しよう!

という取り組みです。

社員全員が、自分が“如何に自分自身の認知バイアスについて無知であったか”を知る機会を設ければ、組織は多様性に強くなるのではないか、

という期待のもと、アンコンシャス・バイアス研修を導入するのですが、効果は上がっていません。それどころか、

自分の無知を責められたような気がする

バカにされたような気持ちになった

・・・といった、否定的な気持ちになる人が続出してしまっています。その結果、

多様性に関するテーマの研修はもう受けたくない!

というような拒否反応が蔓延してしまうことが多いのです。とても残念なことです。とても、とても、とても、残念なことです。

二元的なデザインではなく、人は誰もが学びの途中にいるんだ、

という発達段階的な視点に立って、一人一人それぞれが、ぞれぞれに必要な学習をできる環境を創る、ということがカギとなってくるのですね。

英語学習の例を思い出してください。

これからあなたが英会話学校に入学するとします。入学早々に、あなたは英語が「できる人」なのか「できない人」なのかと二分割されてしまうとどうでしょうか。ネイティブ並みに英語を話せない限り、「できない人」のグループに入れられてしまうとしたら?。モチベーションは一気になくなってしまいそうですね。

そうではなく、しっかりとあなたの学習ニーズを受け止めてくれて、全くの初心者でも、少しは学んだことのある人でも、かなりの上級者であっても、あなたにとって最も効果のある学習プロセスをしっかりとデザインして、「さぁ、これから一緒に学んでいきましょう」と言ってくれる学校のほうが良いと思いませんか?

それが、発達段階的な視点でのデザイン、ということです。そんなD&Iの取り組みをデザインしたいですね。

長くなってきましたので、今日はここまで♪

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効果があるのは「リアクション」か「レスポンス」か。

2019年1月9日 § コメントする

2つめの「E」は、「Effective」です。

効果がある。有効である。といった意味ですね。

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ダイバーシティ&インクルージョンに取り組みます、

と言ったときに、

あなたのモチベーションはどこから来ていますか?

今、トレンディなテーマだから?

世論的に、取り組まないとマズイらしいよ?と聞いたから?

あなた自身が何らかの差別を受けたり、

不都合な対応を受けたり、

働きにくさ、生きにくさを感じている当事者だから?

きっかけは・・・もしかしたら、

どんなことでも良いのかもしれません。

でもね、

組織の取り組みとして、

ダイバーシティ&インクルージョン戦略をデザインするとき、

きっかけの勢いや思い付きでデザインしてしまうと

もったいないですね。

目先の課題に対するリアクション(反射的な反応)での

一過的、短期的なデザインをしてしまう可能性があります。

そうではなく、

目先の課題はきっかけとして活用し、

未来に続くデザインをしたいですね。

長期的に人材を育て組織を変容させていけるような、

社会のより良い未来に繋がるような、

人や組織の学習ニーズに対するレスポンス(意図的な対応)としての、

そんなデザインをしたいですね。

そういった、

長期的に人と組織を成長させるデザイン」を、

未来に続くデザイン

というふうに、私は呼びたいと思います。

そしてそれが即ち、Effective(エフェクティブ)であることです。

では、エフェクティブであるために、

即ち、効果のあるデザインをするために、

どんな視点を取り入れれば良いでしょうか。

次は、そのお話をしたいと思います。

エンパワーする視点

2019年1月8日 § コメントする

Empoweringであるという話。

ダイバーシティ&インクルージョンに取り組む上で大切なこと

のお話の続きです。

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エンパワーすることのできるデザインにするために

何をすれば良いのか。

エンパワーリングなデザインを実現するためには、

Asset-based の視点を持つことです。

Asset(アセット)とは、資産や財産という意味で、

広く価値のあるものを指します。

要するに、「持っているもの」「すでにあるもの」のこと。

例えば、あなたの会社で

ダイバーシティ研修をしましょう、と

企画したとしましょう。

私が研修講師として、ある日あなたの職場にやってきます。

さて、開口一番、

「如何にあなたがダイバーシティというテーマに関して無知か」

「如何にこれまでダイバーシティについて考えてこなかったか」

について語り、

目を覚ましてください!

と叱咤することから

ダイバーシティ研修が始まったらどうでしょうか。

続いて、

「如何に女性への配慮が不十分な職場か」

「如何にLGBTへの理解が進んでいない職場か」

といったことについて、

具体的なあなたの会社の不備について指摘し、

こんこんとレクチャーしたらどうでしょうか。

確かにね、

目が覚めたわ~!

と、前向きに捉える方もあるでしょう。

少数派ですけれどね。

緩く見積もって、全体の15%以下です。

100名研修を受けたとしたら、

15名以下です、前向きに受け取る方は。

甘く見積もっての数字ですから、

実際のところは、もっと少ないのですよ、

こういうアプローチのダイバーシティ研修で

生産的な学習を生み出せる可能性は。

足りないところを指摘して、

目の前に突き出して見せる。

このアプローチは、Asset-basedの反対、

Deficit-basedといいます。

Deficit(デフィシット)とは、損失や不足のことですから、

「足りていないもの」「ないもの」

のことですね。

ダイバーシティ研修をデザインする上で、

デフィシットを振りかざしてしまうと、

学習者のほとんどは、はっきり言って

聞く耳を閉ざしてしまいます。

学ぼうという意欲が削がれてしまうのが常です。

だから、

アセットです。

アセットに焦点を当てるんですよ。

すでにあるもの、

足りているもの、

できていること、

持っているもの、

を明らかにするんです。

明らかにして、確認し合うのですね。

そこにいる一人一人が

すでにアセットであることが確認できれば、

安心安全の中で、

自己肯定感を強化し、

自己効力感を築いていくことができます。

パワーは、そんな環境から生まれます

アセットに焦点を当てた環境を、

私は「Affirmative」な環境と

表現することもあります。

アファーマティブとは、

肯定的、支持的、好意的、

といったような意味です。

アセットに焦点を当てた視点を持つ。

アファーマティブな環境を作る。

それが、エンパワーするために行うことです。

特に、D&Iの取り組みの一環として

研修や講演を企画するとき、

ぜひ、思い出してください。

それは

アセットを引き出すテーマなのか、

デフィシット指摘するテーマなのか、

という視点をね。

(あー、パワーについては、もっと書きたいことがあるのですが、

長くなったので一旦ここまで)

3Eアプローチとは何か?

2019年1月6日 § コメントする

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3つの「E」で始まる言葉を大切にしています。

まず、Empowering

今日はこの、一つ目の「E」について書こうと思います。

ちなみに、続く2つの「E」は、

Effective

そして

Encompassing

です。

お楽しみに。

今日は一つ目のEmpoweringについて書きますが、

そもそも何の話をしているのか、

ということについては、昨日の投稿を読んでください👇

未来に続くD&Iをデザインしよう

未来に続くD&Iをデザインする上で大切な

3つの「E」

のお話です。

さて、Empowering(エンパワーリング)。

D&Iデザインは、エンパワーする(エンパワーリングである)ことが大切です。

エンパワーメントという言葉が

日本でも使われることがあります。

私の言う「エンパワーリングであること」とは、

ふわふわした

「元気出していこうよ♡」

というようなことではありません。

パワーとは何か。

あなた自身の内側から湧き出るパワーと、

社会や組織の中に存在するパワーと、

両方をリソースとして使い、

物事を動かす、

人を動かす、

組織を動かす、

社会を動かす、

という原動力のことなのです。

そんなパワーを身につけること。

そんなパワーを身につける助けとなるような

D&Iの取り組みであること、

が大切、不可欠なのです。

それがエンパワーリングである、

ということです。

では、人と組織をエンパワーするデザインを描くために、

何をすれば良いのでしょうか。

そこが難しいところですね。

そのことについて、

明日、書きます。

(あー、書く、って書いちゃったからね。がんばって書きますよ!)

未来に続くD&Iをデザインしよう

2019年1月5日 § コメントする

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ダイバーシティは大切だ!

多様な人材を活用しなければ!

と、言われましても、

いったい何をどうすれば良いのかが、具体的にわかりません・・・!

という、経営者や人事部担当者からのお問い合わせが

後を絶ちません。

そりゃぁ、そうでしょうとも。

そんなことを急に言われても、

そんなプレッシャーを急にかけられましても、

そんなこと、

これまでやったことないんですから!

当然なんです、わからなくって、迷っちゃって。

困っちゃって当然です。

よくわかります。

私の住むここアメリカで、

そんな多くの一生懸命な悩めるクライアントと

これまで10年、ずっと共に歩んできました。

私のところにいらっしゃるクライアントも、

その多くが同じスタートラインに立っています。

  • ダイバーシティー&インクルージョン(D&I)戦略を立てなければ!
  • 社内の人材多様性を増やさなければ!

という責務を負って来られます。

そこで、

なんか、とりあえず、研修でもしなくっちゃ!

と、なるわけです。

どんな研修でも、やらないよりはマシでしょう?

いう、「やらないよりはマシ問題」については

また追々お伝えしなければと思っていますが、

まずは、シンプルに書きますと、

いえいえ、やらないほうがずーっといい研修がたくさんあるんです。

と、いうことです。

未来に続くD&Iデザイン

でなければ、やらないほうが良いのです。

未来に続く、とは

どういう意味でしょうか。

そのことについて、

私の意味するところを、

次の記事に書いてみたいと思います。

異文化感受性元年

2019年1月5日 § コメントする

新年あけましておめでとうございます。

アメリカではみなさん1月2日から通常運転なのですが、

「私は日本人だから、お正月三が日は働かないの!」

なーんて言っていたら、風邪をひいて結局、

「働かなかった」

のではなく、

「働けなかった」

ワタクシです。あははー。


そうそう寝てばっかりもおられず、

本日1月4日、始動です。

ゆるゆるといくつかタスクをこなしています。


正確には、昨日3日の夜(日本時間4日)に

日本在住のクライアントと

コーチングセッションをしたのが初仕事。

聡明で素直で有能なクライアントと話していると、

風邪も吹き飛ぶ!

ってもんです。


あー、元気出ました。


この記事のタイトルの

『異文化感受性元年』

というのは、

私自身にとって意味のあることで、

いくつかの決意を込めています。

そのことについて、このブログでも書いていこうと思います。


決意に関係してチラっとお話しすると、

今年は

史上最大の帰国回数

を記録してみようかと思っています。


これまでの最高記録は、

2017年の3回帰国。

2018年は2回帰国でした。


ですので、今年2019年は、

4回帰ります!

と宣言したいと思います。


もうちょっとね、

軽やかに行き来したいです、

太平洋のそちら側とこちら側。


本年もどうぞよろしくお願いいたします。


大切なみなさんと、

これまでよりも

もっと深く、

強く、

美しい絆を

築いていきたいと感じている

新年の始まりです。

念願の(懸案の?)日本語情報

2018年3月23日 § コメントする

一昨年あたりから、少しずつ日本国内でのお仕事をいただくようになり、たくさんの方から

「日本語での情報はどこにありますか?」

というお声(課題)をいただいていました。

 

ひとつ目の懸案は、弊社の情報がない!という件。

インターカルチュラリストという会社をアメリカのミネソタ州で登記して経営していすが、創立以来、ほぼアメリカ国内のクライアントと仕事をしてきました。そのため、会社ホームページはずっと英語のみ。これでは、日本のみなさんにはなかなか親しみを持っていただけませんよね・・・。

もうひとつの懸案は、異文化感受性に関するリソースがない!という件。

IDC in Japanese

「何かいい本を紹介してください」

と言われることも少なからずあります。が・・・。ない。というのが現実。日本語で書かれたもので、

読みやすいもの(研究論文ではないもの)となれば、残念ながら私の個人ブログしかありません。と、お答えするしかないのが現状です。

異文化感受性という言葉自体が、普段使う日本語の語彙にありませんものね。

 

と、いうことで。

このふたつの懸案、どうにかしなあかんやろ。と、今年は腹をくくりました。まず、弊社のホームページのデザインを一掃することにしたのを機に、念願の日本語ページをつくることとしました。現在のところはまだまだ少ない情報量ですが、これからも少しずつ追加していく予定です。基本的な情報をまずアップしましたので、どうぞ見てやってくださいまし。

http://www.interculturalist.com/japanese/

 

異文化感受性に関してのリソースについては・・・、もう少し時間はかかりますが、

本にします!hand-laptop-notebook-typing.jpg

 

(あー、ゆうてもたでー。)

現時点では、全体の構成と、冒頭部分ワード文書5ページ分しか書けていませんが、ちょっとがんばって書いてみます。

ときどき、

「がんばってる~?」「書いてる~?」

と、応援がてら訊いていただければ励みになります。よろしくお願いします。

 

書き終わったら早くリソースとしてアクセスしていただけるようにしたいので、自主出版でもさくっと出すつもりですが、日本の出版社から出せるかもよ~、紹介してあげるよ~、という方がもしいらっしゃれば、お力添えをいただければ光栄です。

 

 

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